深川日記

演劇は劇場の中だけで行われているわけではない

小劇団のチラシをつくる4つのポイント

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4月に開催する次回公演「ニューオーダー」のチラシが刷り上がったので、チラシについて考えていることをまとめ。小劇団のしかも自主公演というもののチラシをどういう風に作ればいいのか。考える一助になればと思う。劇団を立ち上げた時に、こういうことを教えてくれる人がほしかったなあと7年目にして思います。各集団いろいろ前提条件は異なるけど、あくまでもかもめマシーンのような金も知名度もないケースとして。チラシ印刷に10万円も20万円も使えないんだよ……。

 

チラシというと、すぐに「デザイン」という話になるけど、ビジュアルだけがデザインじゃない。それは、あくまでもチラシデザインの中の一要素に過ぎない。ビジュアルデザインに関しては、僕はよくわからないから藤井くんに任せているけど、それ以外の「デザイン」については考えられる。

 

 

 

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1)カラーじゃなくてもいいんじゃね?

カラーにすると高い。1万円近く違う。1万円は死活問題だ。それだけで、小劇団の人は2週間は生きられる。チラシといえば、バカのひとつ覚えみたいにみんなカラーだ。だから、もうモノクロでいい。単純に人と違う方が目立つ。目立つ上に安いんだから、こっちを選ぶだろう、普通。埋没しちゃうんじゃないか? カラーにすれば埋没しないと思っている時点ですでにあなたのチラシは埋没してるから大丈夫だよ。埋没しない方法を考えればいいだけのこと。金がないなら考える。

 

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2)紙はとりあえず厚いほうがいい

でも、白黒チラシは安っぽくなってしまうおそれがある(事実、安いし)。だから、斤量にはこだわろう。なんでかというと、ペラい紙よりも、それだけで高級な感じがするからだ。雑誌を手にとっても、1000円以上の雑誌とか、美術展の図録とかって、紙質がいいでしょ。それだけで、なんか高級感を担保をしている感じがする。しかも、カラーにするよりも安い。手触りも、チラシをつくる上で、重要なデザインの一部だ。

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3)なんでもいいからアイキャッチをつくれ

劇場で、折込チラシの膨大な束をもらう。そんなのを逐一検分するのは相当マニアックな人だから、きっとどんなチラシも読んでくれる。だから、そういう人は別にいい。

そうでない人は、幸運にもチラシを見ても、その時間はおよそ1〜2秒くらいのはず(もっと短いよね)。その中で目に止めるためには、まず、アイキャッチとなる要素をつくらなきゃならない。売れてる劇団ならいいんだ。もしくは売れてる脚本、売れてる俳優ならもうそれだけでキャッチになる。けれども、そうじゃないでしょ? うちはそうだ。なら、無理矢理にでもキャッチをつくらなきゃならない。でないと、裏面を見てもらうとかはまず不可能。

劇の雰囲気とマッチしてるからとかでなんとなく風景写真とかなんとなくイラストを使っちゃダメ。チラシを見る人は、雰囲気なんか知らん。もしくは、雰囲気をアイキャッチにできるなら可能だけど、そういうのはちょっと至難の業。

 

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マームとジプシー

 

・4)何回か同じトーンのチラシを続けよう

同じような雰囲気のチラシを何回か続けることも大事。それでああ、あれねと覚えてくれる。チラシを一回見ただけで面白そうだから見に行こうなんていう人がいると信じてないよね? そんな人、まずいないよ!

チラシは、その公演のために単発で作られるんじゃない。その集団の存在を知らしめるためにも使われる。よって、その集団が継続的に活動するなら、次回公演、次々回公演にもその効果は効いてくる。その効果を最大限発揮しようとしたら、あまりころころ買えない方がいい。うちの場合、モノクロ、写真、斤量、劇団ロゴとかそういう部分だ。

 

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ジエン社

 

 

他にもいろいろあるような気がするけど、とりあえず、こういうことを考えてみたら、ちょっと違うチラシになるかもしれない。

 

あと、藤井くんといろんな劇団のチラシを見ながらわーわー打ち合わせするんだけど、たいていの小劇団のチラシはダサいし、何も考えてないように見える。こないだ打ち合わせをしたときに、ベストを獲得したチラシは、パルコがやっていた三谷幸喜の「国民の映画」でした。あと、最近、個人的には鳥公園の「緑子の部屋」のチラシがお気に入り。両者とも紙の質感がとてもよく、かつ、そこから芝居の内容が香り立つものがある。

 

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というわけで、「ニューオーダー」来てね! 

 

 

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斤量:135kg

カラー:1C/1C

印刷:カンフェティ

印刷枚数:15,000枚